NO-201 2015年が明けた。はたして今年はどのような年になるだろうか。
なんと翌日1月2日、池の水が濁っている。水量も減っている。何か変だと思っているとそのうち水が止まってしまった。
気温が下がっているのでどこかで凍結してしまったのか、よりにもよって正月からこのありさまだ。田舎暮らしはのんびりとできないのです。
これは大変だと原因を探りに水源の水槽へと氷室神社の階段脇の山道を辿って登る。すると水槽からは勢い良く余水が出ている。とすると途中で異変がおきていることになる。戻って来る途中の道路壁に水が流れ落ちているのでもしやと上って行ってみるとホースがつなぎから抜けているのだ。何が原因で抜けたのかとみるとホースが泥汚れで何かに踏みつけられたことが原因のようだ。シカかイノシシだ。こんなところにも増え過ぎの有害獣の影響があるとは困ったものだ。
しかし、組の水道は山の中、林の中をホースが1キロほども引っ張ってあるので途中なにかあっては危険だからと2人で作業することにしている。
私は南平の組長をしているので誰か手伝ってもらおうと副組長に連絡したが通じない、他の人も電話に出なかった。ところが幸いなことにブログで紹介した篤史君がいたので手伝ってもらうことにした。そしてホースをつないで踏まれても抜けないように針金で縛った。だがそれでも水は出ない。原因がわからぬまま翌日も朝から作業した。下の水槽までの間を調べるとどうやらホースの中で水が氷っているようで動かすとバリバリと音がする。ホースが抜けてその間に貯まって流れなかった水が氷ったらしい。ガストーチでホースを何百メートルものあいだを解かす作業は時間が掛かって大変だ。しかし結構根気がある気性なので内心楽しみながらやるのだが開通するまでに暗くなってしまって中止した。はたして凍結だけが原因だろうか、昨年の夏には水道が止まった時にはその原因がまったくの想定外、木の根がホースの中で増殖し詰まっていたのだった。その長さは1メートルもあったのだ。その残りがあったのではないかなどと考えが錯綜する。翌日もシバレがきついので氷は解けそうもないので作業は中止した。しかしこのまま何日も水が来ないと池もモロコやドジョウが氷ってしまって死んでしまう。息子達や友人が来てモロコ釣りをできなくなったらどうしょうと不安がよぎる。
それが気がかりで軽トラに水タンクを積んで行って入れたりもした。4日目に恵みの雨が降ったので暖気で氷が解けることを期待した。すると午後になると水が出だして順調なので氷以外の障害はなかったようだ。やはり自然の力は大したものだと先ずは一安心。それにしても毎年このように水が止まるトラブルが発生するのは困ったものだが、今回のように本管が氷ったのは初めてだった。数年前に井戸を掘ってあったので生活水には困らなかったが、井戸を掘ってなかったら大変なことになっていただろう。生活に欠かせぬ水は都会では余り気にならないだろうが田舎に住むには先ず第一に水の確保、つまり水がどのように手に入るかを考えなければならない。というのも水を使うには水利権があり、誰でもが許可なく使うことはできずたとえ谷川の水といえども生活のために汲み上げたりホースを使って利用もできない。私の場合は組に水利用のための権利金10万円を支払った。その後集落では町水道が使えるようになっているが我が家までは町水道を引くには金が掛かりすぎるので3軒共同の井戸を掘ったのだった。
その水も電気がなくては生活水は使えなくなる。昨年の1メートル超えの雪は停電を引き起こす可能性があるので、またいつ大雪がくるかもしれず、その備えとして発電機も設置した。また、今は生活水として使っていなくても組の水はいつでも使えるようにしておかなければならない。そしてモロコやドジョウのためにも。このような突発的な出来事は田舎暮らしでは覚悟しなくてはならないから正月と言えども朝から酒など飲んでいられないのだなんて。幸いなことに正月明けも雪が少なく外での作業をするには都合がよい。水の次は燃料としての薪作りも欠かせない。北海道の兄にヒノキを薪にしていると言ったらなんと贅沢なと驚いていたが、数年前に根っこごと倒して積んであったヒノキを薪にするために片付けることにした。例の篤史君が何事も経験と捉えて手伝ってくれる。ユンボにハサミを取り付け木を挟んで持ち上げておいて根と枝をチエンソーで切り落とし、それを運び出せるように10数メートルもある長さの木をバランスを取りながら持ち上げて積み上げる。一通り切り落とし作業を終えると積み上げてある木を3本ぐらいまとめて吊り上げ1メートルの長さにスプレーで目印を付ける。それを次々に切って1メートル50くらいの高さに積み上げる。そしてその上にトタンを雨よけに被せて、風に飛ばされないように針金で縛ったり重しの木を載せる。この作業を延々と続けるのだ。チエンソーは土や石に触れるとすぐに刃が痛み切れ味が悪くなる。すると切るのに時間が掛かったり片刃になると曲がって抵抗が掛かって切れなくなる。何倍もの時間ロスになるし燃料の無駄遣いにもなる。また木にチエンソーが挟まって無理して外そうとして動かすとチエーンが伸びてしまうから度々締め付けもしなくてはならなくなる。雨の日にじっくりチエンソーの目立てをすると翌日の作業効率は段違いに良くなる。彼もその道具の手入れと作業効率の良さが手応えでわかったようである。私の方針としてはあまり始めから何でも教えはしない。たとえいくら教えても経験が伴わないと気が付かないし教えても忘れるものだ。
教えないとその分リスクは生じるがそれは覚悟しているし、それを咎めることもしない。経験があっても失敗することが度々あるのだから素人に最初から期待などできないというものだ。それでもいつも妻との作業を考えると男手の作業はユンボを駆使してなので格段に速い。日々の生活の中で彼の存在は大変助かるし私としても彼から学ぶものもある。この一年が実り多いものである気がして楽しみである。