NO-199 極貧の田舎暮らしか、それとも優雅な自給自足か?

PC310893
自作のウッドガスストーブの前で
 自身も含めこれまで数多くの田舎暮らしを見てきたが、たいていの場合はなんらかの物造りや職業を持ってあるいは勤務先を見つけて、またはリタイヤ組の田舎でのんびりと過ごしたいなどだいたい見当が付くものである。
しかし、この集落のそれも我々の南平という組に1人の若者がやってきた。古い家屋のために修復には金がかかる。売るにも建物を解体するのに金が掛かるので放置されていた。したがって誰も見向きもしなくなったこの家に、家の中や周りのゴミや家財雑貨などを片付けることを条件に家主から3,000円という破格の家賃で住むことを決意し27歳の独身男性が住み着いたのだ。
以下は本人に書いてもらった。
 私は山梨大学在学中から富士川町住民と親交を深めており、平日は東京で仕事をし、週末は富士川町の田んぼで自然農の手伝いをし、東京と山梨を往復する生活を送っていた。東京では、プラントエンジニアとして、電池、薬品、食品等の生産プラントの設計、施行管理を行っていた。私は東京での生活も、田舎への移住も学生時代からタイミングも含めて全て計算していた。
どこにいても誰よりも自由に楽しく生きる人間になる事を人生最大の目標としている。
東京を離れた理由は、多数あり下記の通り。
1、単純に東京での遊びに飽きた。
2 、お金で買いたいものがなくなった。(家、車を含めて)
3、エネルギーと食料を社会に依存せず、自分で自給したくなった。
4、 田舎で、おいしい空気と水と食料に囲まれて生活したくなった。(3、に近い)
5、エンジニアの仕事が楽しくなくなった。
6、ソローや高村友也の著書に影響された。
7、 田舎暮らしを始めるだけの貯金が貯まった。
8、 世界を旅して、日本食と四季の素晴らしさに気が付いた。
9、 マクロビオティックを自然の中で実践したかった。
10、 今後日本が迎える社会問題を、楽しくクリアして生きたかった。
上記の理由は、これから移住希望へアプローチを仕掛けていく方達にとって参考になれば幸いだ。
2015年は、玄米、味噌、梅干しを自給し、四季のリズムを身体で感じる事が目標。

多くの人はあきれるぐらいのんびりした目標だが、私はそれが全てだからしょうがない。

ここで私について簡単にまとめてみる事とした。
� 平林での古民家暮らし
家賃は3000円。古民家は損傷が激しく、まともに住める部屋は、9畳の一部屋である。その一部屋ですら障子は破れて、柱は傾いており、隙間だらけなので夜にはマイナス8℃の冷風が通り抜けるような部屋だ。そこで睡眠、食事等の全てを行っている。
生活の詳細は下記の通り。
移動手段→ホンダカブ50ccのみ使用
風呂→カブで30分程度の源泉掛け流し温泉を200円で使用。
ガス→ウッドガスストーブを講習会で制作費込み1500円で自作入手、ロケットストーブを使用。よって0円。
水→家の近くの湧き水を使用。0円。
洗濯→湧き水を使って手洗い。
電気→定格電流10Aで月額350円程度使用
インターネット→ヤフーモバイル月額3000円で上限1GBを使用
食事→玄米3/4合に小豆を混ぜて1日2食をウッドガスストーブでそこらの木を燃やして炊く。月5000円程度
暖房→移住して3日で、住民から薪ストーブと煙突を貰う。よって0円。
健康保険料→年収33万円以下のため年13000円程度
年金→年収33万以下のため免除
住民税→上記と同じ理由で免除
現在近所の子供へ週1回1時間英語を教えているため、食費とインターネット代以外は全て稼げている。

� 東京での暮らし
森ビル18Fでガラス張りのオフィスで、皇居、国会議事堂、東京タワーを眺めながら仕事をしていた。
給料も上々で、ボーナスは年3回、年1回は海外旅行に連れて行ってもらえるような会社だった。
日本各地に出張し、会社経費で大企業の偉い人と高級割烹で食事をする日々。
週末は、いつも青山や中目黒で洋服を買って、高級なレストランで食事をして、六本木や表参道でパーティーをしたりして、デートしたり、友人と騒いだりして過ごす。
そんな生活を2年ほど続けると徐々に飽き始めて、田舎暮らしに憧れ始める。
他人からすれば、経済的に恵まれた生活なのかもしれないが、会社のために自分の人生を犠牲にする事で得られる必要以上の贅沢に嫌気が差した。

�平林での田舎暮らしを1ヶ月やってみた感想等
今思い返しても本当に無計画なスタートだったと思う。巣鴨の日本レンタカーでヴィッツに荷物を積んで、土砂降りの中、ゴミ屋敷に荷物を運びこみ、ネズミと一夜を明かした日がなつかしい。
布団、毛布、ほうき、工具、棚はゴミ屋敷から調達した。
薪ストーブ、煙突、豆炭こたつ、薪、火鉢、バーナー、椅子は町民の方々から頂いた。工具、ジャケット、作業着、長靴は前の会社から頂いた。
薪ストーブは集落の方に設置して頂いた。
自分は、薪ストーブの煙突用メガネ石(6000円)を購入したのみ。
未来を明確にイメージしながら取り組むと無計画でもなんとかなるのかもしれない。
そして、この習慣は新規ビジネスの立ち上げにも応用できると思う。
 朝日で目を覚まし、湧き水と薪で玄米を炊いて、良く噛んでゆっくり食べる。その後は流れに身を任せて適当に生活している。不思議な事だが、たったこれだけで欲しいものがどんどん手に入る。
自分の気持ちに正直に生き、やりたい事をやっていたら、欲しいものが手に入るのは本当なのかもしれない。
そのあたりを平林の山の中で、同世代の仲間に伝えていけたらと思っている。
そして、「よく遊び、よく学べ」そんな言葉をよく投げ掛けてくれた両親に感謝している。・・・ここまで。
 私は彼のような人がやって来るのを望んでいた。定職を持たず自由にこちらの仕事や手伝ってほしい事に手を貸してくれる。お返しは一緒に食事とお風呂とわづかなお土産で済ましているが、こちらに取っては都合のいい話かも知れない。しかし彼も私のやり方や生活から何らかの学びを得るはずである。というのも、私が田舎暮らしをするに当たって友人からちょっとした助言が役に立ったからだ。これから何が達成されるかわからないが、しかし協力関係があれば豊かな楽しい田舎暮らしを実現し、生き甲斐を得る事を信じているからだ。誰もが彼のような行動を取る事はできないだろう。それ故貴重な存在ではある。 ようこそ岩崎篤史君!