NO-205 放射能汚染という目に見えない危険と恐怖にどう向き合うべきか

03)P1010916 日本ほど放射能の被害や影響を受けた国は世界にはない。日本は世界で初めて原子爆弾投下による攻撃を受けた。広島と長崎その被爆による放射能汚染から始まり、その後に続く世界各国が大気圏内核実験を何年にもわたって太平洋上で繰り返し行われた。これにより世界は放射能汚染に見舞われることとなり日本では雨が降るたびに何マイクロマイクロキュリーと発表し放射能雨の危険性を訴えていたものだ。それゆえ外出を控えたり雨に直接濡れたりしないように帽子や傘を差す、カッパを被るなど注意を促した。それもやがて地下核実験へと移り、見えない地下の汚染だけにとどまらず地下資源減少への影響を及ぼし、更には地層の構造にも衝撃を及ぼし地震や火山の引き金にもなったという。時はやがて兵器としての原子利用から平和利用と称して原子力発電が使われるようになった。しかしこの危険極まりない原子力はそれでも放射能によって人間を襲うことになる。それはロシアのウクライナはチエルノブイリでの原子力発電所の事故として発生したのだった。風向きは日本へと向かうので風に乗って放射能は日本にも降り注いだ。お茶の葉や食材が汚染され廃棄処分も行われた。身近なところでは我が社の敷地のタンポポが異常な大きさを示し葉の長さは30~40センチほど、茎の太さは親指ほどとまるでネギのような大きさだった。これは放射能汚染による突然変異であろうか。
 そして2011年3月11日、未曾有の大震災が東日本を襲った。同時に津波が発生し福島第一原発が被害を受け原発が停止して次々に爆発した。恐れていた放射能が風に乗って数日間で東北から東京、神奈川、静岡、山梨の一部、そして埼玉、栃木と死の灰が降り注いだ。想定外といわれる津波の高さだったと責任回避とも取れる発言が東電や政府から聞かれた。これまでは安全、安心、安価で奇麗なエネルギーと宣伝されて来たのだ。それが世界最大の原発事故として大気汚染、海洋汚染へと発展した。残念ながら日本では原発が壊れることも想定していなかったから、その対応には手の施しようがなく対策が後手後手と回り未だに試行錯誤の放射能を押さえられない事態が続いている。
原発周辺の自治体は汚染され人が住めない事態となっている。それでも除染や陸のかさ上げ工事をして住人を呼び戻し住まわせ自治体を存続させようとし国も県も福島の復興を掲げて危険を顧みず体制を立て直すことに躍起だ。
総理は原発の処理はコントロールされていると世界に公言し東京でのオリンピック開催への意欲を示した。

先日、『美味しんぼ鼻血問題に答える』を読んだ。筆者は連載満マンガ『美味しんぼ』の作者であり私の愛読書でもあった。
その彼が福島県を取材した折に言いようのない疲れと鼻血を出したのだった。
しかも鼻血を出したのは彼だけでなく他にも多くの事例があった。
その事実をマンガに書いたところ風評被害だと福島県や周りの自治体マスコミまで、そしてあろうことか政府までもが攻撃したのだった。まさに言論の自由は崩れ出版社に抗議が殺到し遂に出版を断念した。
それから2年、彼は反論として『美味しんぼ鼻血問題に答える』を自身の出版社から出したのだった。
この書評として
「美味しんぼの読者として、作者は誠実で愛があり、よく調査をされ、そして取材者の了解を得て出版されている。
1、国民に真実を伝えること、真実は厳しい言葉で表されそれがいかに大切であるかをよく心掛けておられる。
2、私自身の経験から国も環境省、自治体もそして企業もその体制を維持することを優先しておりその犠牲に国民が曝されている。
3、経済優先の国にあって雁屋氏は人間として誠実に真実を伝えることがこの日本のマスコミに欠けており彼は報道の模範を示している。
4、この本は放射能の害のみならず国や自治体、東電をはじめとする企業の体質をも知ることができる教書ともいえよう。
5、真実を知り日本の将来を憂うならば、レビューが真っ二つに別れていること、これこそが真実の認識のなさを示している。
6、真実を知り理性的に真実を語るならば誰も議論する必要はない。しかし議論しなければならない者は真実を知らず真実を述べることもない。したがって彼の理性も未熟なのである。(エノク)
7、この書をきっかけにご自身がどちらのレビューが人々のために真実を語っているか熟考されてはいかがだろうか。」
もう1冊
『ヤクザと原発』序章 ヤクザの告白「原発はどでかいしのぎ」を読んだ。
第1章 私はなぜ原発作業員になったのか。 第2章 放射能VS暴力団専門ライター。 第3章 フクシマが明かす「3.11」の死闘。 第4章 ついに潜入!1Fという修羅場。 第5章 原発稼業の懲りない面々。 終章 「ヤクザと原発」の落とし前。
どちらも調査体験を元に記されたものだ。
 「日本中が汚染されるだろう。」2011年当時、原発事故に対するビリーの見解を半信半疑で受け取った。私にとって彼の意見は最も信頼と確実視を持って長年かかわって来た。それでも彼の見解が大袈裟に思えたのだった。
しかし、4年が経った現状は何も変わっていない。
『深刻!東電福島第一原発からは、今も毎日2億4000万ベクレルが大気中に、200億ベクレルが海に放出されている』(2013年10月7日、国会で東電社長が答弁して安倍首相が世界に言い放った「放射能は完全にブロック」の嘘が露呈。)
政府やマスコミの意見や報道を鵜呑みにするか上記の本の内容や自分の頭で考えて判断するかはひとえに個人の自由である。
しかしこの見えない危険を甘く見ない方がいいとは私の見解であり、勇気を持って放射能から離れて生活して欲しいと願わずにはいられない。