NO-207 経済効果を優先するための少子化対策に幸福な生活は犠牲にされる
政府が、自治体が、そして経済界までもが少子化対策に躍起になっている。はたして少子化は国民に原因があるのだろうか。結婚しない、産まない、育てられないのは国民に責任があるとでも言いたげだ。少子化現象はひとえに昭和初期の国策、大日本帝国政府が打ち出した結婚十訓のひとつ、「産めよ殖せよ国のため」によって人口が爆発的に増えいわゆる団塊の世代が誕生した。それに伴う高度経済成長が続きその陰で人々の生活環境は劣悪化してきた。水不足、水質汚染、大気汚染、温暖化、騒音障害、食料不足、エネルギー不足、農地不足、土地不足、住宅難、就職難、経済格差、長時間労働、失業、自殺、物価高、ゴミ問題、財政難などなど。その結果、結婚できない、産めない、育てられない社会悪としての弊害が生じているのである。つまり責任は昭和初期の出産を奨励した国にあり、更に現政権が少子化対策に税金を投じてまで出産を後押している。人々が安心して子育てできる生活は自然環境に応じた適正な人口密度を維持していることが条件となるが、このような基準を国は検討もせず国民に提示もしなかった。経済優先で自然環境との調和を無視した歯止めなき人口増加は諸悪の根源となって、国や自治体の借金を増大させ地球環境をも破壊し国民を生活苦や死の淵へと追い立てている。
私たちの知るところでは中国が「一人っ子政策」で人口増加の抑制をしている。
しかし日本は世界人口密度ランキングでは187国中21位と53位の中国よりも人口密度は多いのである。それにも関わらず少子化を叫び人口減を防ごうとしている。いったい国は何を根拠に人口を調整しようとしているのか。
労働人口の不足、高齢化による医療費や介護費用負担増、税収減の心配等を挙げているが。前出のブログにも書いたように世界も日本も適正人口の16倍の人々が住んでいる。人口が増えるに従って電気、水道、下水、道路、護岸、橋や陸橋、トンネル、鉄道、高速道などインフラ投資がかさむことはそれだけ税金を投入しなければならず、したがって自治体も国も借金体質に陥ってしまっているのである。いまやその借金体質にすっかり慣れきって海外援助も派手にやっている。そんな金があったら国内投入し諸問題の解決をして欲しいものだ。
また別のデーター国連(UN)は158カ国を対象に世界の幸福度についての2015年版調査報告書を発表した。報告書によると、1位はスイス、2位はアイスランドだった。3位以下はデンマーク、ノルウェー、カナダと続いた。しかし日本は46位だった。
日本は平和で豊かでそして幸せな国だと思っておられる方も多いかもしれない。
世界の中では46位よりもっと上位にいるのではないかと思われたことでしょう。昨年はブータンが世界で最も幸せな国と報道された。実情は農業に携わる国民が9割位もいて生活は貧しいが幸せであると国民は言っていたのである。つまり食料の自給率が高いとお金がなくとも食べるには困らないので幸せだと感じる。ほかにも要因はあって、それはなんと言っても豊かな自然の恵み、きれいな空気、おいしい水によって、そしてストレスがなく穏やかに家族とともに営む生活は日本でも田舎の原風景であった。それが時の流れとともに人口増となって、畑や水田、もしくは山林を分け与えられない子だくさんの兄弟たちは長男という跡継ぎを残して田舎から追われるように町や都会へと職を求めて出て行かざるを得なかったのである。つまり自然が養うことのできなくなった人々が町や都会を形成し、さらに住宅や道路や鉄道などを耕作に適した平野な土地をつぶしてコンクリートやアスファルトで埋め尽くしますます食料自給率を低下させてきたのである。そして自業自得的に人々はますます自分たちの生活を苦しくさせてしまった。鳥や獣でさえ餌が当たり子を養い種の保存という義務を果たしているのに人間だけが生活苦に喘ぎ更に増税が課されることは避けられない。それでもいつか人間と自然が調和のとれた世界で真の意味で幸福になれるよう変えていかなくではならない。